お話は、紘平が父親に工作の宿題を手伝って貰う場面で終ることにしていたが、彼には自力でそれができるのではないかという気がしてきた。

 鍾乳洞の中で竜を自分の目で見、その最後を見届けることになる彼に、それができないわけがないという気がしてきたのだ。

 不器用さは変わらないが、彼のうちにある生々しい興奮と冷静な観察力が、不恰好ながら、どこかリアルな工作の完成に彼の手を導いてくれるはずだ。

 工作の恐竜のまわりに、恐竜と戦う小さな者たちを散りばめさせよう。

 箱の天井になる部分のダンボールに錐で穴を沢山開け、糸を通して垂らし、それに小鳥に見せかけた紙を結べば、翔太の口から流れるピアノ協奏曲の玉たちが鍾乳洞の天井にぶつかって化身した小鳥たちになる。